レザーの鞣しの種類と特徴

「鞣し(なめし)」とは、動物から剥いだ皮から脂肪やたんぱく質など腐る原因となる物質を取り除き、 薬品などにより科学的な処理により柔軟性と耐久性に優れた革へと変化させる加工技術を言います。 しかし、一言で鞣し(なめし)といっても、使用する用途や性質に合わせて、油鞣し、タンニン鞣し、 クロム鞣し、アルデヒド鞣し、くん煙鞣し、口噛み鞣し、アルミニウム鞣し、ジルコニウム鞣しなどがあります。
【タンニン鞣し】
タンニン鞣しは、植物タンニン鞣し(ベジタブルタンニン鞣し)と言い、古代エジプト時代(日本では弥生時代)から伝わる
伝統的な鞣しの技法で、植物中にある化合物「渋」を使用します。「渋」とは、柿やワイン、紅茶などが持つ渋みのことで、
主にミモザから抽出されたタンニンが使われています。
タンニン鞣しの特徴は、硬くて重く、耐久性に優れており、経年変化の風合いが楽しめる革で、主にカバンやベルト、靴、
馬具などに使用されています。デメリットとしては、加工に手間がかかるため、価格が高く、また、水分や油の吸収が早いため汚れやすいため、
こまめなメンテナンスが必要です。
【クロム鞣し】
塩基性硫酸クロムを主成分として科学的になめす方法で、現在、最もポピュラーな技法です。
軽くて柔軟性、伸縮性、弾力性、耐水性、耐熱性などに優れている特徴をもち、加工時間が1日から5日間と短く、生産性が高く、
また、着色もしやすく、価格も手ごろであることから、衣服やソファ、財布、バッグなど幅広く使用されています。
【アルデヒド鞣し】
有害物質を発生させない環境にやさしいアルデヒド化合物を使用した鞣し技法で、タンパク質を化学反応により柔らかな仕上りが特徴です。 コストや生産性の面からまだまだ割高となっています。。
【油鞣し(オイル鞣し)】
動物性油(多くは魚油)を使用してなめす技法で、非常に柔らかい革に仕上げることができます。代表的なものでは「セーム革」 がありますが、柔軟性・吸水性がよく、洗濯も可能で、眼鏡等レンズや時計等貴金属などの汚れ落としやガソリンのろ過などにも使用 されています。