レザーオイルとレザークリームの違いや使用上の注意について
皆さん、レザージャケットやレザーパンツなどはちゃんとお手入れされていますか?
レザージャケットなどレザーウェアは、普通のお洋服と比較すると少し高額で特別なものですので大切にしたいものです。
しかし、そんなレザー製品は日ごろのメンテナンス次第で何十年も末永くご使用いただけます。
そこで今回はレザーメンテナンスで欠かせないミンクオイルとレザークリームについて、また、
その特徴と使い方についてお話していきますので、ぜひ参考にしていただければと思います。
【ミンクオイルとは】
ミンクオイルは、「ミンク」というイタチ化の哺乳類で上質な毛皮が有名ですが、このミンクの内臓と毛皮の間にある油(脂肪) を抽出し作ったクリームをいいます。 自然素材由来のためレザーには非常に良く馴染むことから、ミンクオイルはレザーにとって非常に優秀なアイテムで、メリットも大きいです。 しかし、メリットが大きい分、使用方法を間違えてしまうと取り返しのつかないことになってしまうので、ミンクオイルの持っているデメリット・デメリット などの特徴を十分ご理解いただいた上で使用されることをおすすめします。
【ミンクオイルの正しい知識と使用方法】
皆さんの中でも、ミンクオイルはレザーにいいからとにかく塗ればいいんだよね?といきなり大切なレザーに塗る方がみえますが、
先ほども少し触れましたが、メリット・デメリットがあります。ということは、ミンクオイルを使用していい革と悪い革、
使用できる場合と使用できない場合があるということに注意してください。
それでは具体的に何がメリットで何がデメリットなのかを見ていきたいと思います。
まず、ミンクオイルは、動物性脂肪のため非常に浸透性の強いオイルであるということです。
これはレザーに染み込みやすいということで、染み込みやすさは、革自体の撥水性を高め、革が嫌う水気の吸収を抑えてくれます。
また、油分が革に染み込むため、革自体を柔らかくしなやかにし、革本来の光沢を蘇らせてくれます。
しかし、こういったメリットは、大きなデメリットであるとも言えます。例えば、型崩れしてほしくないレザーグッズ、
ビジネス用革靴やビジネス用バッグなどはカジュアルとは違い、革のしなやかさや柔らかさ、言い換えるとヨレヨレ感を嫌います。
また、革に染み込みやすいということは、エイジングを好む革やレザーグッズであれば問題ないのですが、
ミンクオイルが染み込むことで革自体にシミや斑模様ができたり、濡れたように変色してしまうことになりかねませんので、
革や用途により使い分けていただく必要があります。
【ミンクオイルによるメリット】
ミンクオイルは表面張力が弱いことから浸透性に優れており、革の繊維の奥まで浸透するため、高い保湿力が維持でき、 革の乾燥を防ぐ効果があります。また、油分が染み込むことで、水を弾き防水効果とともに革を柔らかくする効果もあります。
【ミンクオイルによるデメリット】
ミンクオイルによるデメリットは、いいからといって多く塗ると、革を柔らかくし過ぎるため、コシがなくなり革がヨレヨレになってしまいます。
一旦ヨレヨレになってしまった革は二度ともとには戻せません。
また、油分が多く保湿効果が高いということは、裏を返すとカビが繁殖しやすくなります。高温多湿の日本の気候で、風通しの悪いクローゼットなどで
レザーを保管した場合は特に注意が必要となってきますので、保管場所にも気を使っていただく必要があります。
【ミンクオイルの正しい使い方】
- まずは、オイルを塗る前に固く絞った布やブラシなどを使用し、革に表面にある汚れや埃を取り除いてください。
汚れや埃が付いたままオイルを塗ると、汚れを広げたり、にじませる原因となってしまいます。
- 続いて、オイルの塗り方ですが、できれば直接指を使って丁寧に塗り込んでください。指を使うことで、体温でオイルが溶け、
より革に浸透しやすくなるからです。
指を使うのが嫌だという人は、布を使っていただいてもかまいませんが、オイルが厚くならないよう薄く馴染ませるように塗ることがコツで、 厚く塗り過ぎると、色ムラが出ることがあるので気を付けてください
- ミンクオイルを塗った後は、しばらくの間オイルが馴染むのを待って乾いた布やタオルで丁寧に拭き取ってください。
- この状態で約一日放置し、最後に全体を乾いた布等で乾拭きしてください。
以上、気をつけていただくことは、一気に多量のミンクオイルを塗りこまないことがきれいに仕上がるコツになります。
【レザークリームとは】
続いてレザークリームについてですが、レザークリームは、乳化性クリーム、デリケートクリーム、油性クリームなどがあり、 革製品では乳化性クリームが一番使われています。
【乳化性クリームとは】
乳化性クリームの主な成分は、各社製品により成分比率は異なりますが水、油脂、ろう(パラフィン)、有機溶剤が入っており、
水分と栄養を補給することで革をしなやかにするとともに長持ちさせる効果があります。
ミンクオイルと比較すると、ウエット感が抑えられ、ろうの成分により自然な光沢と艶に仕上がるのが特徴と言えます。
【デリケートクリームとはとは】
デリケートクリームは、主にヌメ革やシープスキンのような淡色で、表面加工がされてなく、油分や水分を吸収しやすいデリケートな革に使用するクリームで、
製品にもよりますが約80%とほとんどが水分となっています。
デリケートな革は、エイジングを楽しむ革とされていますが、表面加工がなされてなく、色が淡いことから、汚れやシミが目立つため、
極力油分を抑えた汚れ落とにと作られたのがデリケートクリームで、ロウなどの成分が入っていないため、保湿効果はありますが、光沢を出す効果はありません。
【油性クリームとは】
油性クリームは、乳化性クリームやデリケートクリームとは異なり、水分が入っていません。水分がない分、革への浸透性が低く保湿効果はないですが、 艶感の強い仕上がりになるのが特徴で、塗った後、ブラッシングを行うことで艶のある整った質感に仕上がります。
【まとめ】
ミンクオイルは、主成分が動物性オイルであるため、保湿効果、防水効果、柔軟効果に適していますが、革への浸透性が高く、
シミや斑となる可能性が高く、また、革自体を柔らかくしてしまい、コシをなくしてしまうことから、
革の特性を知らいない初心者には扱いに十分気をつける必要があります。
そのため、乳化性クリームの方が、適度な油分や水分、ロウなどにより、適度な保湿や艶などバランス良く仕上がるので、
革の専門的知識がない方には、扱いやすいおすすめの製品と言えます。